装蹄師の請求は、乗っても乗らなくても決まった周期でやって来ます。装蹄費を決めるのは、削蹄だけで済ませるか蹄鉄を打つかという一つの選択と、装蹄師がどれくらいの間隔で来る必要があるかです。そしてその間隔を決めるのは、予算ではなく馬の蹄です。
この記事は、初めて自分の馬を持ち、数週間ごとにやって来るこの請求が実際にいくらになるのかを計算している人のためのものです。一回ごとに何に払っているのか、手に入る数少ない料金データ、請求額を動かすもの、装蹄師が来る間隔、そして誰がこの仕事をしてよいのかを順に見ていきます。最後の点は、多くの馬主が思っているより大事です。
一回の装蹄費は作業の内容で決まる
普段の作業は三つあり、料金はそれぞれにかかる時間と材料で決まります。
- 削蹄だけ。装蹄師が蹄を切りそろえてバランスと形を整え、馬は蹄鉄なしで過ごします。最も安い作業ですが、技術が要ることに変わりはありません。
- 前肢だけの装蹄。後ろは裸蹄で問題なく歩けるけれど、前には保護が必要な馬によくある中間の選択です。
- 四肢の装蹄。蹄鉄を四枚打つ作業で、その前に行う四肢すべての削蹄を含みます。
治療や矯正のための特殊な装蹄は四つ目の区分で、料金も別になります。多くは獣医の助言にもとづいて行われます。英国の王立獣医師会(RCVS)の指針は、獣医と装蹄師が直接話し合って作業を決めることを求め、装蹄師は通常、診断をしたり薬を投与したりすべきではないとしています。日本で同じことを定めた公的な文書は見つかりませんでしたが、順序は変わりません。脚を痛がっている馬は、装蹄師より先に獣医に診せてください。
装蹄費の相場:日本には公的な調査がない
日本では、装蹄の料金を調べて公表している公的機関や業界団体は見つかりませんでした。手がかりになるのは、個々の乗馬クラブが公開している料金表です。私たちが確認したクラブのページでは、装蹄費は預託料とは別に請求されていました。
杉谷乗馬クラブの自馬会員の案内は、装蹄料や獣医代などの実費を預託料とは別に負担するよう明記しています。カナディアンキャンプ乗馬クラブ九州の預託馬のページでは、月額の料金表に、預託馬料88,000円とは別の行として装蹄代16,500円が載っています。これは一つのクラブが公開している料金で、相場ではありません。何回分の、どんな作業の料金なのか、税込か税抜かはページに書かれていないので、預ける前にクラブに確認してください。
数字として比べられるのは海外の調査だけです。現在の料金を出している唯一の情報源は、米国の業界誌American Farriers Journalが2026年に専業の装蹄師を対象に行った調査で、全米平均は四肢の削蹄が61ドル、削蹄に工場製の既製蹄鉄四枚を加えた装蹄が184ドルでした。地域別の平均は削蹄が54〜75ドル、装蹄が166〜197ドルで、中部の州が最も安く、最西部の州が最も高く、装蹄師たちは2027年に料金を約4%上げる見込みだと答えています。
この数字は限界を承知のうえで読んでください。同誌自身が科学的な調査ではないと書いており、答えたのは回答することを自ら選んだ604人の装蹄師で、兼業の装蹄師は含まれていません。ヨーロッパの状況はさらに薄く、フランス馬・馬術研究所(IFCE)が公表した平均は、健康な蹄の乗用馬で削蹄が34ユーロ、四肢の装蹄が74ユーロ(いずれも税抜)ですが、もとになったデータは2014〜2016年のものです。英国とドイツでも、料金を公表している規制機関や業界団体は見つかりませんでした。
役に立つのは、一回の料金を月額に直すことです。予算のほかの項目は月単位で動くからです。六週間ごとなら年に約8.7回(52週÷6週)の訪問になるので、調査の184ドルの装蹄は月に約133ドル、61ドルの削蹄は月に約44ドルになります。「一回の料金×年間の回数÷12」という同じ計算を、あなたの装蹄師やクラブの料金で試してください。
装蹄費を動かすもの
一つ目は地域で、調査の地域差がそれを示しています。二つ目は経験です。ミネソタ大学エクステンションの装蹄師の選び方の案内は、経験のある装蹄師は、この仕事を始めたばかりの人より高い料金を取ると考えてよいとしています。そのほか、料金は作業そのものによっても変わります。
- 蹄鉄の種類。手作りの蹄鉄、アルミ製や接着式の蹄鉄、パッド、スタッド用の穴は、どれも基本的な既製蹄鉄の装蹄に上乗せされます。
- 馬そのもの。矯正のための作業は時間がかかり、じっと立っていられない馬は装蹄師の時間を使います。鎮静が必要なら、それは獣医の仕事です。
- 来てもらい方。一頭のためだけの出張や、落鉄した蹄鉄を付け直すための予定外の訪問は、同じ厩舎で何頭かまとめて装蹄するより一頭あたりが高くなります。落鉄したらいくらかかるかは、起きる前に聞いておきましょう。
- 材料。フランスでは農業省が2025年、鉄や消耗品の値上がりが装蹄の仕事をかなり高くしていると、国民議会の質問への答弁で述べています。
装蹄師が来る間隔
日本装削蹄協会やJRAのページで、装蹄の間隔をはっきり示したものは見つかりませんでした。海外の目安は次のとおりで、数字は少しずつ違います。
- イングランドの馬の福祉に関する実施規範は、削蹄や装蹄のやり直しは装蹄師の助言に従い、通常は四〜八週ごととしています。頻度は健康、栄養、年齢、仕事の内容によって変わります。
- ミネソタ大学エクステンションは、夏は六〜八週ごと、蹄の伸びが遅くなる冬は六〜十二週ごととしています。
- フランスのIFCEは、乗用馬で45〜60日を勧めたうえで、使い方や飼養の条件、蹄の伸びに合わせて調整するよう書いています。
間隔を決めるのは装蹄師であって、予算ではありません。間隔を延ばせば一回分の装蹄費は浮きますが、浮いた額よりずっと高くつくことがあります。
装蹄師かベアフットトリマーか:誰が蹄を扱ってよいのか
いちばん安い選択が、国によっては違法になることがあります。蹄鉄を使わない裸蹄の手入れを専門にするベアフットトリマーを含め、誰がこの仕事をしてよいかのルールは、多くの馬主が思うより国ごとに大きく違います。
日本には現在、誰が装蹄してよいかを定めた法律がありません。かつての装蹄師法(昭和15年法律第89号)は、昭和45年(1970年)の法律第111号で廃止されました。JRAの日高育成牧場のブログも、装蹄師資格は昭和45年までは国家資格だったが、現在は公益社団法人日本装削蹄協会による認定資格だと説明しています。
その日本装削蹄協会は、2012年に日本装蹄師会から現在の公益社団法人に移行した団体です。認定装蹄師には2級、1級、指導級の三つの等級があり、1級には2級の取得から4年以上、指導級には1級の取得から9年以上の経験が必要です。装蹄師を養成する課程は、宇都宮の装蹄教育センターで1年間、全寮制で行われます。
つまり日本では資格は任意で、法律が装蹄できる人を限っているわけではありません。だからこそ、どの等級の認定装蹄師なのか、どれくらいの経験があるのかが、馬主にできる確認になります。預託先のクラブがいつも頼んでいる装蹄師がいるなら、その人の等級と経歴を聞いてみてください。
海外では線の引き方が違います。イングランド、ウェールズ、スコットランドでは1975年の装蹄師登録法により、登録装蹄師でない人が装蹄をすると違法になります(見習いや訓練生、獣医、緊急時の応急処置などは例外)。ただし法律は装蹄を蹄鉄を付けるための作業として定義しているので、蹄鉄を付けない削蹄は対象外で、ベアフットトリマーは合法に働いています。政府は2026年7月にこの法律を新しい法律に置き換える方針を示しましたが、実際に置き換わるまでは1975年の法律が有効です。一方フランスでは、2025年に最高裁判所にあたる破毀院が、削蹄でさえ資格のある装蹄師に限ることができると認めました。もっとも、この事件で削蹄をしていた人が有罪になったわけではありません。
その馬が蹄鉄なしでやっていけるかどうかは、誰が削蹄するかとは別の問題です。イングランドの実施規範は、道路や硬く荒れた路面で定期的に乗ったり馬車を引かせたりする馬には一般に蹄鉄が必要で、蹄鉄を付けない馬には慎重な管理が要ると書いています。決めるのは装蹄師と獣医で、節約したい気持ちではありません。
請求を正直な額に保つ
できることの多くは、お金がかかりません。装蹄師が来る前に馬を捕まえ、汚れを落として乾かし、平らで硬い場所に用意しておく。蹄鉄が外れるのを待たず、予定どおりに来てもらう。装蹄師がまとめて回ってくれるなら、同じ厩舎の馬主と日を合わせる。そして毎回の記録を残しておくことです。いつか買い手が馬の蹄について尋ねてきます。たいていは購入前の獣医検査を予約する頃で、そのとき答えになるのは記憶ではなく書いた記録です。
私たちの役割
Hoofineは馬に蹄鉄を打てません。できるのは、それをする人を一か所に集めることです。ディレクトリの装蹄師は、上に挙げた質問を、落鉄したときの料金も含めて尋ねるためにあります。装蹄費は予算の一行にすぎず、全体は馬の維持費についての記事にまとめています。また預託先によっては、装蹄師が来たときに馬を保定すること自体が別料金になります。何が預託料に含まれるかは、自馬預託の費用についての記事で確認してください。



