乗馬クラブのサイトに載っている金額が、そのまま乗るときの金額であることはまずありません。乗馬費用は、その数字が1回分なのか毎月の分なのか、入会金が別にかかるのか、ヘルメットや保険が含まれているのかで大きく変わります。
この記事は、これから乗馬を始める大人や子どもの親、そしてレッスンがいずれ自分の馬につながるかもしれないと感じ始めた人のためのものです。日本の乗馬クラブの料金の仕組み、どんな料金表も比べられる一つの数字に直す方法、料金に含まれているべきもの、きちんと運営されたクラブの見分け方、そしてレッスンの先にあるものを順に見ていきます。
乗馬費用は三つの支払いでできている
日本の乗馬クラブでは、入会金と月会費を払ったうえで、乗るたびに騎乗料を払う形が一般的です。全国にクラブを展開する乗馬クラブクレインは、よくある質問の中で、会員になるには入会金・会費・騎乗料の三つが必要だと説明しています。
- 入会金は入会するときに一度だけ払うもので、退会するまで再び払う必要はありません。
- 会費は月謝にあたるもので、毎月かかります。
- 騎乗料は1鞍、つまり1回馬に乗るごとの費用で、クレインでは10枚綴りのチケットになっています。
この形では、レッスン1回の値段だけを見ても実際の負担はわかりません。入会金は最初の年に重くのしかかり、月会費は乗る回数が少ない月ほど1回あたりの負担を押し上げます。クレインには、1か月まったく乗らない月は会費が半額になる「休会制度」がありますが、どのクラブにも同じ仕組みがあるとは限らないので、入会前に確認してください。
一つのクラブの実際の料金表
数字の例として、乗馬クラブクレイン三重の会員プランを見てみます(2026年9月閲覧)。正会員は入会金165,000円、月会費19,800円、騎乗券が平日1,980円、土日祝2,640円で、騎乗券は45分のレッスン1回につき1枚必要です。同じクラブでも、ジュニア会員は入会金66,000円と月会費13,200円、29歳以下が対象のU29会員は入会金27,500円と月会費6,600円に更新料11,000円と、会員種別によって大きく違います。
これは一つのクラブの定価であって、相場でも平均でもありません。クレインも、会員料金はクラブごとに設定しているとしています。まずは自分が通えるクラブの乗馬料金を、同じ三つの項目に分けて書き出すところから始めてください。
三つの項目の外で金額を左右するもの
入会金、月会費、騎乗料が同じように見える二つのクラブでも、次のどれかで中身が違うことはよくあります。
- 部班レッスンか個人レッスンか。個人レッスンは1時間あたりの料金が高いぶん、1時間で学べることも多くなります。何人かで一緒に乗る部班レッスンは安く、どれだけ身につくかは一人のインストラクターを何人で分けるかで決まります。
- レッスンの長さ。クレインの騎乗券は45分のレッスン1回分ですが、長さは料金表で必ず確認してください。短くて値段の低いレッスンが、割安なレッスンだとは限りません。
- まとめ買いか都度払いか。前払いのまとめ買いで割引する仕組みは多く、その多くには有効期限が付いています。
- 保険と用具。クレインには一口210円の掛け捨て保険による独自の「乗馬クラブ傷害保障制度」があり、会員になる前の乗馬スクールでは、ヘルメットやブーツなどの装具レンタル代と1日分の保険として1日1,860円がかかります。
騎乗1時間あたりの乗馬費用を出す
乗馬レッスンの料金を集計した公的な統計は、日本にはありません。ネットで見かける数字は、個々のクラブや予約サイト、ブログがそれぞれ自分の周りの市場を書いたものです。私たちはそこにもう一つ数字を足すことはしません。
その代わりに、どの料金表も比べられる形に直すことはできます。一つのクラブで1年間に払うものを全部足してください。入会金、12か月分の月会費、実際に乗るつもりの回数分の騎乗料、保険、受けるつもりの審査料です。それを、実際に馬の上で過ごす時間で割ります。45分のレッスンなら1鞍は0.75時間です。この騎乗1時間あたりの費用だけが、あるクラブの部班レッスンと別のクラブの個人レッスンを同じ物差しで比べられる数字であり、あなたの住む地域の乗馬費用はいくらかという問いへの正直な答えです。
入会金は、何年通うつもりかで割って考えてください。退会するまで再び払う必要はないので、長く続けるほど1年あたりの負担は軽くなり、1年でやめれば全額がその1年の費用になります。
この数字をゆがめるものが二つあります。有効期限までに使い切れない回数券は、割引を損に変えます。数えるのは本当に乗る回数だけにしてください。そして、天候を理由にレッスンを中止して振替をしないクラブは、表示価格を変えないまま実質的に値上げをしています。月会費制ならもう一つ、乗れない月にも会費がかかるので、乗る回数が減るほど1時間あたりの費用は上がります。
料金に含まれているべきもの
レッスンの料金には、馬とその馬装、馬場、インストラクターの時間が含まれているべきです。それ以外のことは、申し込む前に聞いてください。
- ヘルメットを借りられるか、それはどの規格を満たしているか
- ブーツ、手袋、ボディプロテクターを自分で用意する必要があるか
- 入会や審査、体験レッスンが先に必要か
- 自分がキャンセルしたレッスンと、クラブが中止したレッスンはどうなるか
- 乗っている間に保険がかかっているか、それは誰の保険か
ヘルメットについては、英国のブリティッシュ・ホース・ソサエティ(BHS)が認定センター向けに定めた帽子の規則が参考になります。PAS 015、VG1、ASTM F1163、EN 1384:2023などの規格を認めていますが、いずれもBSIカイトマークやSEIマークといった品質マークが付いている場合に限られます。BHSは、落馬した後のヘルメットは交換するよう勧めています。これは英国の団体の基準で、日本のクラブに適用されるものではありません。それでも、ヘルメットを貸し出すクラブなら、そのヘルメットがどの規格を満たしているかを答えられるはずです。
乗馬4級を取るにはいくらかかる?
続けていると、自分の腕前を認定してもらいたくなるかもしれません。公益社団法人全国乗馬倶楽部振興協会の乗馬技能認定は、協会が定めた全国統一の基準で5級から1級までを認定する制度です。審査料は各級とも11,000円(税込)ですが、協会自身が書いているとおり、借馬や施設利用などにかかる費用はクラブや地域によって異なります。そこに、審査を受けられる腕前になるまでのレッスン代が加わります。
もう一つ名前を目にするのが、日本馬術連盟の騎乗者資格です。A級、B級、C級などがあり、連盟の主催競技会や公認競技会に出る選手が一定以上の技能を持っていることを確認するための制度です。レッスンを受けるための条件ではありません。
きちんと運営された乗馬クラブの見分け方
料金は、安全についてほとんど何も教えてくれません。制度のほうが多くを教えてくれますが、その中身は国によって大きく違います。
日本では、動物の展示などを営利目的で業として行う場合、営業を始めるにあたって第一種動物取扱業の登録が必要です。環境省の解説ページは、「展示」にあたる業者の例として乗馬施設を挙げています。登録した事業者には標識の掲示が求められているので、クラブの中やサイトで動物取扱業の表示を探し、見当たらなければ尋ねてください。
ただし、この登録は動物の取り扱いについての制度です。インストラクターにどんな指導経験や資格があるか、レッスン中のけがにどんな保険で備えているかは、別に聞く必要があります。海外では仕組みがまったく違い、たとえばイングランドでは乗馬学校の営業に自治体の許可が必要です。
どこであっても、申し込む前にレッスンを一度見学してください。一人のインストラクターが何人を見ているか、初めての人が部班に入る前に騎乗の様子を確認されているか、馬が健康で落ち着き、手入れが行き届いているように見えるか。どれも、規則がなくても自分の目で確かめられます。
レッスンの先にある自分の馬
レッスンは定期的に乗るための最も安い方法で、多くの人にとっては何年もそれが正解です。ただ、いつか計算と目標が同時に変わる時が来ます。次の一歩は多くの場合、購入ではなく馬のシェアや貸し借りです。すべての費用を払う前に、毎日の世話が何を意味するのかを学べます。購入が視野に入ったら、購入価格より先に馬の維持費と預託料に実際に含まれるものを読んでおく価値があります。購入後に毎月払い続けるのは、そちらの数字だからです。
私たちの役割
Hoofineは乗馬クラブではなく、クラブを格付けすることもしません。できるのは、クラブを一か所に集めることです。ディレクトリの乗馬スクールと乗馬センターは、レッスン1回の値段だけでなく、ここに挙げた問いで比べるためにあります。レッスンが馬探しに変わったら、販売中の馬はすぐ隣にあります。



